2.「認知症のひとり歩きを予防するための5つのステップ」

概要：認知症のひとり歩きを未然に防ぐための具体的な方法（環境調整、習慣付け、見守り技術など）を5つのステップに分けて解説。家族がすぐに実践できる内容です。

認知症の方のひとり歩き（徘徊）を未然に防ぐためには、家族が適切な対策をとり、生活環境や見守り方法を工夫することが重要です。以下では、認知症の方がひとりで外出して迷ってしまうリスクを軽減するための5つのステップを紹介します。日常的に取り組める方法を意識することで、家族と本人がより安心して生活できる環境を整えることができます。

1. 生活環境を調整して外出を予防する

認知症の方がひとりで外出しないようにするためには、生活環境を少し工夫することが効果的です。例えば、玄関や窓にセンサー付きのアラームやチャイムを設置することで、外出しようとする動きをすぐに把握できます。また、玄関のドアにロックを設置したり、目につきにくい場所にしておくと、認知症の方が気づきにくくなり、ひとり歩きを未然に防ぐことができます。

家の中での移動を少し工夫することで、本人が無意識に外出する行動を避けられるようにし、必要に応じて家族が声をかけやすい環境を整えましょう。

2. 日常生活の中に規則正しい習慣を取り入れる

認知症の方にとって、日常生活の中で決まった行動パターンを習慣づけることは重要です。散歩や外出のタイミングを決めて、家族と一緒に外に出かけるなど、外出する機会を計画的に設けることで、無意識のひとり歩きが減ります。定期的な散歩時間や買い物などをあらかじめ予定に組み込み、本人が外出したい欲求を安全な形で満たせるよう工夫します。

また、毎日の生活リズムを整えることで、本人の気持ちが安定し、不安や不快感が軽減され、ひとり歩きの頻度が減ることが期待されます。

3. 見守り技術やデバイスを活用する

最近では、認知症の方を見守るためのさまざまな技術やデバイスが提供されています。例えば、QRコードを利用した見守りシールやGPSトラッキングデバイスなどがあります。QRコード付きの「あんしんQRシール」などは、万が一ひとりで外出してしまった場合に備えて、服や持ち物に貼り付けておくことで、周囲の人が情報を確認できる仕組みを提供しています。

GPS付きのデバイスやスマートウォッチなども、認知症の方の位置情報をリアルタイムで追跡するために役立ちます。家族がスマートフォンで位置情報を確認できるため、万が一外出してしまった場合でも迅速に居場所を確認することが可能です。

4. 地域社会やサポート団体と連携する

家族だけでひとり歩きを防ぐことが難しい場合、地域の見守り活動や認知症サポーター制度などの地域連携を活用することが有効です。認知症サポーター制度では、地域住民が認知症の方に理解を持って接するための研修を受けることができ、地域全体で見守る体制が構築されています。

地域の商店や施設に協力を依頼し、見守り活動に参加してもらうことで、ひとり歩きが発生した際にすぐに家族に連絡が入る仕組みができるため、リスク軽減につながります。特に、地域のスーパーや公園などで「もし迷っている人を見かけたら」対応してもらえるよう、情報を共有しておくことが重要です。

5. 家族内での情報共有と早期の兆候把握

認知症のひとり歩きを防ぐためには、家族間での情報共有が欠かせません。ひとり歩きのリスクが高まる兆候や外出しようとする行動パターンを理解し、家族で協力して見守り体制を整えます。例えば、認知症の方が家族の誰かと過ごす時間を増やすことで、外出の欲求を抑える効果が期待できます。

また、本人の状態やひとり歩きの兆候を早期に把握することで、適切な対応がとれるため、こまめに会話や観察をすることが大切です。家族が協力して本人の気持ちや行動を見守り、ひとり歩きのリスクを低減させる環境づくりを心がけましょう。

ひとり歩きのリスクを防ぐには、日常生活の中で予防的な対策を取り、家族や地域社会全体で協力して見守り体制を強化することが重要です。上記の5つのステップを参考にして、ご家族が安心して暮らせる環境を整えていきましょう。